香りは、記憶と強烈に結びついています。心を落ち着けることもあれば、心をかき乱すこともある。精神への強烈な破壊力と再生力を、香りは持っていると思うのです。最初の香りの記憶は、庭にあったちいさな椿のつぼみを剥いて花芯に鼻を近づけた時の甘い記憶。椿は今も一番好きな花です。花弁がちることなく、一番美しい姿のままでぽとりと落ちるその潔さが、今際の際まで美しくあり続ける女性のようで----- 。そして、その香りも、とてもノーブルなのが好き。
薔薇の香りも勿論好きです。香水は、たぶん小さいころに祖母が使っていたグレのもの。小学生の時には父に、ニナ・リッチのレールデュタンをもらいました。
大学生の時に、好きだった人がディオールのファレンハイトをつけていました。それを真似して、他にもエタニティなどの、男性の香りをつけていました。カルバンクラインの香水はとても好きで、エスケイプや、ダビドフもよくつかいました。若いころはグリーンノートがとても好きでした。
でも、好きな人の彼女がランコムのマジ・ノワールをつけていて、私も真似しました。その次はトレゾア。やがてシャネルの19番をプレゼントされて、随分大切に使っていました。
その後もいろんな香水に浮気したけれど、今はシャネルの5番が一番好きです。5番も19番も、最近リニューアルされたものでなく、最初の調香師の作ったクラシックなものがすき。ムシューのものも、その調香師の作ったクラシックで癖のあるものが好きです。香水なんて、最後の贅沢という気がするけれど、持つと花が聞くようになって、いつかMimeiの香りなんかも作ってみたいですね。